桜花 咲きかも散ると 見るまでに 誰れかもここに 見えて散り行く
万葉集巻十二・3129番
羇旅に思いを発べた歌四首のひとつ。人麻呂集(柿本人麻呂の歌を集めた私家集)に入集していたらしい。
折口信夫 口訳万葉集での評釈
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咲いてゐる櫻が散って行くか、と思はれる程に、今目前に、かうして現れては、誰も彼も、散り散りに別れて行くことだ。(旅の先々で逢遇する、様々な人々との、様々な交渉、それも、直に分離して行く悲哀をば、美しい櫻の花に譬へて居る。 徳川期の「櫻花かや散り散りに」といふ唄も、此には及ばない。傑作。)
折口博士記念古代研究所 編『折口信夫全集』第五巻,中央公論社,昭和41. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1663261 (参照 2023-03-30)
繰り返し記号は漢字に直した
「櫻花かや散り散りに」の唄は、文楽の本朝二十四孝にて出てきているようだ
濡衣と八重垣姫 本朝廿四孝を観る | 独立行政法人 日本芸術文化振興会 #
この歌と桜の花 ちりぢりにしも わかれ行く 遠きひとりと 君もなりなむとの間に何らかの血脈を感じるcFQ2f7LRuLYP.icon
桜、別離、散る
折口の歌の方は少し先の未来を見ている