桜花 咲きかも散ると 見るまでに 誰れかもここに 見えて散り行く
羇旅に思いを発べた歌四首のひとつ。人麻呂集(柿本人麻呂の歌を集めた私家集)に入集していたらしい。 https://gyazo.com/52858e09b24fe2a1c49693c045a09fad
咲いてゐる櫻が散って行くか、と思はれる程に、今目前に、かうして現れては、誰も彼も、散り散りに別れて行くことだ。(旅の先々で逢遇する、様々な人々との、様々な交渉、それも、直に分離して行く悲哀をば、美しい櫻の花に譬へて居る。 徳川期の「櫻花かや散り散りに」といふ唄も、此には及ばない。傑作。) 繰り返し記号は漢字に直した
「櫻花かや散り散りに」の唄は、文楽の本朝二十四孝にて出てきているようだ 桜、別離、散る
折口の歌の方は少し先の未来を見ている